長い夜のヨガ

一度だけスタジオに泊まったことがあります。

 

深夜残業の後、翌日も朝早くから仕事をしないといけなかったので仕方なく。

 

スタジオに着いたら12時近く。1月の後半、外はとても寒かったけど、水曜の夜はハタヨガのクラスがあったので、ドアを開けると、まだレッスンのぬくもりが残っていました。

 

それでも、どんどん冷えてくる。

暖房を強くして、ブランケットにくるまって、もちろん、コートは着たまま。

 

明日は6時半には起きて、仕事をしないといけない。

早く寝ないと。

でも、眠れない。

 

体が疲れている気もしない。

絶対疲れているはずなのに。

 

さっきまで見ていたパソコンの画面が、目の前にまだあるみたい。

やり残した仕事を、明日の9時までに片付けないといけない。

だけど、できるのかわからない。

 

頭の中は、いらだったことだけ。

 

温かい飲み物を飲んで、体を温めても眠くならない。

目を閉じても、耳が起きている。

 

物音一つしない深夜のスタジオ。

外もとても静か。

遠くで鳴っているはずの車のクラクションが、スタジオのドアの前で響くかのように、はっきり聞こえる。

耳が一層冴えてくる。

どんな小さい音も聞き逃さない。

むしろ、こちらから音を拾いに行っている。

 

ほんの小さな音も、騒がしいまでに聞こえるので、とうとう暗闇で目を開けてみる。

 

ブラインドのすき間から、うっすら外の明りが入っている。

ブラインドのひだが斜めに傾いている。

今度は目。

何も見えなかったところから、どんどん見えてくる。

夜行動物みたいに。

ぼんやりしたものが、はっきり輪郭を現して、どんどん絵が描かれていく。


寝ないと!

明日も忙しいんだから。

 

考え事にも、遠くの音を聞くのも、暗闇で何かを探すのも飽きたころ、やっと思い出した。

 

呼吸しなくちゃ。

こんなに、あれこれ聞こえてたのに、自分の呼吸は聞こえてなかったのです。

 

吸って吐いて

吸って吐いて。

体が膨らんだり、縮んだりするのを、背中で感じる。

自分の呼吸は波の満ち引きみたいな音。

 

そして、気付いたら朝になっていました。